変移する学習方法

学習のICT化

eラーニング浸透の背景
eラーニング基本概要
e多様化する学習方法

eラーニング浸透の背景

eラーニングという言葉も近年では一般的になりましたが、実際は20年ほど前に日本でも学校教育から普及しだしました。当初はまだeラーニングという名称ではありませんでしたが、CAIやCBT、WBTなどの変容を経て2000年頃から情報技術を用いて行う学習をeラーニングと呼ぶようになりました。
1995年に発売された「Windows 95」は、それまで一部のマニアックな人達が使っていたパソコンやインターネットを、大々的に広く普及させました。CD-ROMを搭載したパソコンが普及した事により、パソコン+CD-ROMの教材で学習するという形が整ったことで、学習方法もマルチメディア化されました。これが今のeラーニングの始まりだと言えます。
2000年代からインターネットがブロードバンド化し、従来のダイヤルアップ接続と比べ、一気に数十倍もの広帯域で通信できるようになりました。このインターネット環境の大きな変化をきっかけに、CD-ROMやDVDを主に教材として利用していたのが、ブロードバンド回線によりオンラインで利用したり、一括ダウンロードして学習することができるようになりました。
そして2001年に「e-Japan」という国が打ち出した構想の中に、インターネット環境整備やコンテンツの発展、学校教育の情報化が含まれていたのも後押しとなり、本格的に利用されるようになったのです。

eラーニング基本概要

eラーニングとは、情報技術によるコミュニケーション・ネットワーク等を活用した主体的な学習で、利用方法としては以下の3通りがあります。

eラーニングは「学習者」と「教師」が想定されており、学習者用の機能と教師用の機能は異なっています。多くのeラーニングシステムには、eラーニングシステムの「システム管理者」がおかれ、システム管理者によって、学習活動・教育活動に対する支援が行われる場合もあります。学習者は、学習目的に従って作成されたeラーニング教材を使って学習します。
eラーニングの提供者と学習者間、さらには学習者の間の双方向性が確保された環境の中で学習します。

※ ここでいう双方向性とは学習を効果的に進めていくために、eラーニング提供者から学習者に対して様々な教材が提示されることにより適切な教授がなされたり、提供者と学習者間、または学習者間で双方向のコミュニケーションが実施されたりすることを指す。参考「eラーニング白書 2007/2008年版」(経済産業省商務情報政策局情報処理進行課編/東京電機大学発行)

LMS (学習管理システム)

LMSの主な機能としては、「学習者と教材の管理」と「学習進捗の管理」の2つに分けられます。さらにその2つを細分化すると様々な機能がありますが、ICT技術の向上により、今後更なる機能が増えていくと思われます。

LMSの代表的な機能

学習者の氏名・所属等の情報を登録・更新・削除する
学習者の学習の進捗状況や理解度等を管理
受講者が学習する教材の順序の設定・割り当て
グループ単位で学習者を管理
教材の登録・削除・公開時期などの管理
教材の受講順序などの設定
学習者の氏名・所属等の情報を登録・更新・削除する
教材をタブレットやスマートフォン等からでもeラーニングを学習できるようにマルチデバイス対応にする
テストの出題・回答・採点や合格 / 不合格の設定・結果による分岐
学習者の学習進捗・成績の管理
学習者の学習進捗のレポート作成
学習者への連絡(自動メール送信など)・アンケート調査の実施
学習者同士、学習者と講師が交流できる掲示板やチャット等の管理

LMS (学習管理システム)

学習教材

eラーニングの学習教材(コンテンツ)は、静止画や動画の映像、音声、文章などを組み合わせたマルチメディア形態のものが多く、主に資料提示型の教材として活用されていますが、問題集やテストなどの教材の解答をより解りやすくするために動画や音声が使用される場合もあります。
問題集やテストは、学習管理システムと連携して学習者の学習履歴を残すことができるものが多く、これを活用することで、学習者が十分に理解・習得できていない部分を見つけたり、eラーニングを集団で実施している際に学習者各々の進捗状況を把握することができます。
近年では、通学や通勤中にも気軽にeラーニングを実施できる、タブレットやスマートフォン向けのアプリケーション型教材も増えています。

学習者への支援体制

IT技術が飛躍的に進化し、今や1人1台パソコンやスマートデバイスを所有している時代になりました。近代の若年層が、eラーニングを学習する上での操作はほぼ問題はないと思います。しかし、eラーニングで学習するのは学生だけとは限らず、社内研修や資格取得の学習にも活用されています。人によっては操作性や内容を理解できない事項が含まれる場合もあります。
また、eラーニングでの学習は、学習者のモチベーションを保持することが大切ですが、教師が付いて学習するわけではないので、途中でわからない事があったり、学習意欲が低下してしまい、継続することが難しくなる場合もあります。
このような事態を防ぐためにも、eラーニングでの学習が円滑かつ効果的に運営されるよう、学習アドバイザーや案内係といった学習者への支援体制を整備する必要があります。

学習者への支援体制

多様化する学習方法

ICT技術の発展と共に学習方法も多様化してきています。「何を使って学習するのか」「どのような形態で学習するのか」「どのような考え方で学習するのか」によって「~ラーニング」と新しい学習方法が誕生してます。eラーニングの機能を組み合わせて、eラーニングのデメリットを補う学習方法もあれば、従来の学習方法とは全く違う新しい形態のものもあります。一般的に知られているものもあれば、まだ認識度の低いものもありますが、その中でもある程度認識されている、これから浸透していくであろう学習方法についてまとめました。
どれを選択するのがいいかは、学習者の性格・学習する環境・学習する内容などで変わりますが、自分に合った効率よく確かな学習をするために、どのような学習方法があり、どのような内容なのか把握しておくのは大切です。

アクティブラーニング

アクティブラーニング教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の「思考を活性化する」能動的な学習形態のことを指します。例えば、実際にやってみて考える(体験学習・調査学習・グループワーク)、意見を出し合って考える(グループディスカッション・ディベート)、学習したことについて振り返る、などいろいろな活動を通して理解を深める学習方法です。「学生参加、協同・協調学習、問題解決」学習の形態を強調した学習を行うことで、従来の受動的な学習方法ではなく、主体的・協力的に学習するという意識を高め、汎用的能力の育成を図るのが目的です。
デメリットとしては ① 従来以上に授業準備の時間を要する。 ② 体験学習や調査学習など実践的な学習を行うには、それをバックアップする実践体制の構築が必要。 ③ 市販の参考書や問題集がなく、学力の評価がつけづらい。 ④ 単独では学習しにくい。 以上の問題点を考えると、なかなか実践するのはハードルが高いようです。

アダプティブラーニング

一般的な学習者を全員をまとめて、集団一斉・同時進行していく学習とは違い、学習者それぞれの学び手に応じて適切な内容、適切なスピードで進める「適応学習」です。学習過程で得られる学習の実施状況やテスト結果、アンケート等の大量のデータを解析し、個々の学習者に対して適切なコンテンツを提供します。データによって不得意・理解できていない分野を割り出すので、学習者自信が気づいていなくても、不得意な分野を集中に学習するので効率的です。
また、ソーシャルラーニングのようにコミュニケーション学習ができるので、成績の競い合いや、学習者同士が解らない問題に対して質疑応答する「助け合い」の学習も可能です。

アダプティブラーニング

ブレンディッドラーニング

従来の対面式講義授業にオンライン学習を組み込んだ学習方法で、単に授業の一部にeラーニングを取り入れるのではなく、いつ・どこで・どのような順序やペースで学ぶかなどを学習者自身が決められる状況で、学習者が主体的に学習を進める「個別学習×生徒主導」の学習方法です。したがって、クラス全員が同じ教材を同じペースで勉強する集団授業の一部としてeラーニングが取り入れられているケースは、ブレンディッドラーニングとは異なります。

ブレンディッドラーニング

ソーシャルラーニング

ソーシャルラーニングFacebookやTwitterといったSNS、ブログサイト、YouTube、Google+、Tahoo知恵袋のようなQ&Aサイトなどのソーシャルメディアをツールとして活用した学習方法です。教える側と教えられる側の役割を明確化・固定化した一方的な学習形態(フォーマルラーニング)ではなく、参加者同士がネットワークを通じてインタラクティブに教え合い、学び合う学習形態(インフォーマルラーニング)で、学習者自信が自分で選んで適した学習が可能です。

ディスカバーラーニング

マクロな観点で学習を

上記で紹介したように様々な学習方法があり、世界中で今も新しい学習方法が提案されていますが、どの様な学習目的に向いているかは様々です。成績や点数など学習力を伸ばすてめの学習、考え方やコミュニケーションなど人間性を育てるための学習、現代や将来的に危惧される問題の対策としての学習など、学習目的によって学習方法も考慮する必要があります。
学習目的が定かな場合も、なんとなく学習している場合でも、実は学習者自身が気づいていないことはたくさんあると思います。そのような気づきをデータを元に解析するのがLMS(学習管理システム)を用いた学習方法です。
ディスカバーラーニングはLMSをさらに広い視野で活用した学習方法で、今までの1つの目標に対し集中して学習する方法とは違い、「広い視野で可能性を発見する」ことが可能です。アダプティブラーニングのように「データを元に学習者の学習力を解析し、その結果から他の問題を提案する」という仕組みは同じですが、提案するのは「学習力を高める問題」ではなく、「自分でも気づいていなかった可能性・選択肢」です。
例えば「○○大学の医学部」合格を目標に受験勉強をしている場合、提案されるのは目標を基準にしたものになるので、同レベルの他校の医学部の過去問や、○○大学の薬学部の過去問、成績に基づいたレベルの問題になります。ディスカバーラーニングは大学や学部で捉われるのではなく、他の大学や学部への可能性も提案します。「僕は理系だから○○学部」など自分に制限をつけた考え方ではなく、本来の自分の素質や力が他にもあることに気づいてほしいと考えています。
今まで知らなかった自分の可能性を発見できれば、学習するのも楽しくなるのではないでしょうか。発見や意外性は好奇心を刺激します。学習の場合、好奇心=学びたいという気持ちです。どんな学習方法でも、第一に学びたいという気持ちがなければ継続できず、力はつきません。学習力を上げるのはもちろんですが、学習に対する意識を変えることもディスカバーラーニングの目的です。

高校生用の教材にディスカバーラーニングを導入した事例です。いくつか質問に答えると解答データを解析し、学習者に合った問題を出題するという機能になっています。
赤の破線部分がディスカバーラーニングの「新しい発見」です。従来の「データを元に学習者の学習力を解析し、その結果から他の問題を提案する」というLMSの機能をさらに広い視野で活用しています。自分では気づかなかった新しい可能性・選択肢を提案し、学習する楽しさを実感してほしいという想いで誕生しました。

Discover Learningは株式会社タカヤコミュニケーションズの登録商標です。